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きみどりの理念

​オーダー着物を通して、着る人と職人にスポットを当てたい。

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 きっかけは着物デザイナー河井信希氏との会話  

きみどりがオーダー着物事業を始めるきっかけになったのは、10年来の友人である着物デザイナー河井信希氏でした。

着物に興味が湧き、彼に「どんな着物を買ったら良いか」相談したところ、着物業界の現状について深く知ることになったのです。

「もうあと10年したら着物作る職人が居なくなるから、今のうちにええ着物を仕立てておいた方が良いよ」

彼の口からこんな言葉が飛び出してきました。

​そして、もっと衝撃的なことも私に教えてくれました。

​現在の着物職人の多くは継ぎ手がおらず、その職人の技術や知恵が絶えてしまうということ。

職人の多くが高齢(60~80代)であり、10年後にはほとんどの職人が働けなくなっているということ。

​職人は伝統工芸士という国家資格を有しており、高い技術を持っているということ。

しかし、職人に支払われる報酬は少なく、着物を作るだけでは生活が難しいこと。

​こういった着物業界の現状を聞き、非常に驚きました。

​こんなご時世ですから、着物の発注数は激減しています。

少しでも職人への支援になればと思い、着物を作ることを決めました。

 オーダー着物は想像以上に価値のある体験だった  

「着物は店頭に並んでいる物もすべて一点ものだから、どうせなら好きなデザインの着物を作ったらどう?」

​河井氏よりそうアドバイスをもらって、せっかくなので自分の好きな柄や着ていきたい場面を伝えて作ることにしました。

職人目線では、問屋から言われて作るのか、本人から希望を聞いて作るかの違いしかなく、顧客の希望に合わせて作ることに変わりは無いということでした。

制作にあたり、数百パターンある見本の中から好きな色・柄・生地を選び、着物のどこに配置するのか河井氏と話し合いました。

彼は多くの著名人が着用している着物をデザインした実績があり、彼の提案はユーモアにあふれ、なるほどと思うものでした。

ちなみに、彼は既存のイメージに囚われない、上品で洗練されたデザインを得意としています。

型見本を眺めているだけでもワクワクして、あれもこれも作りたくなってしまいました。

デザインが決まったら、次は職人達へ仕事がまわっていきます。

友人のよしみで職人の仕事場を見学させてもらい、実際に自分の着物がどうやって出来ていくのか、どんな人が関わってくれているのか、どれだけ大変な作業をしてくれているのかを知ることができました。

また、職人側も「誰が、どんな場所で着るのか」がわかると仕事に熱が入り、いつもより頑張って作業をしてくれた方も多くいらしゃったようです。

一反の着物を作るのに非常に多くの職人が関わっています。

その一人一人の人柄に触れ、作業の精密さ・美しさ・苦労を知ることで、感謝と心の交流が生まれました。

そうやって出来上がった着物は、まるで宝物のように感じられました。

着物を通して、彼らと繋がっている。そんな気持ちになり、袖を通す度に背筋がピンと伸びます。

彼らがプライドをかけ、人生をかけて作った着物をまとえる喜び。

そんな魂の宿った着物を多くの人に着てもらいたい。

この胸が打ち震える体験をもっと多くの人に知ってもらいたい。

​それがオーダー着物事業を立ち上げた理由です。

 着る人も、職人も喜ぶ「持続可能な着物文化」へ  

先ほど、職人の多くは継ぎ手が居ないということをお話しました。

この原因の1つとして、彼らへの報酬の少なさがあります。

彼らの仕事は素晴らしいものです。

ですが、問屋はなるべく安く商品を仕入れたい思惑があり買い叩かれているのが現状です。

着物が多く流通していた昭和までの時代であれば、1つ1つの工賃が少なくても数をこなす事でカバーできました。

しかし、着物の流通量が減った令和の時代でも同じ工賃では、とても生活が成り立ちません。

私が聞いたところによると、着物一反を作るのに職人1人あたりアルバイトが1日で稼ぐ金額か、それより少ない額の工賃だそうです。

しかも、職人の仕事の多くは1日で終わるものではありません。

これでは職人を継ぎたいと思う人が現れなくて当然です。

このままでは高い技術を持った職人がどんどん居なくなり、日本の伝統工芸が失われてしまいます。

私たちが10年後に「良い着物が欲しいな」と思っても、今あるものを奪い合うしかなくなるのです。

 

この現状を変えるには、まずは職人達が食べていけるだけの十分な報酬を確保する必要があります。

「この仕事は食べていける」と分かれば、モノづくりが好きな若い継ぎ手が現れるかも知れません。

まずは職人が十分な報酬を得ること。

そして、着物の流通量を増やすこと。

この2点を叶えることで、伝統文化を守る足掛かりになるのではないかと考えています。

 伝統産業を守るために。きみどりの取り組み  

きみどりはオーダー着物事業を通じて、着る人に「特別な体験」と「魂の宿った着物」を提供いたします。

​そして、一緒に仕事をする職人への報酬も、通常支払われる金額より多くしています。

本当の意味で職人の仕事に見合った工賃をお支払いし、敬意を持ち、共にお客様に喜びを与えるパートナーとして仕事をしております。

また、中間業者を通さないことで、職人への工賃を上げつつも価格はぐっと抑えることが出来ました。

オーダーというとお高いイメージがあると思いますが、私が作った着物がもし一般の呉服店で販売されていたとしたら、私が支払った金額の倍はすると思います。

​決してポンと買える金額ではないかも知れませんが、それでも2回、3回とお求めいただける金額に出来るように考えております。

​ぜひ一度、きみどりのオーダー着物をご体感ください。

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